第四使徒
シャトー・ラフルール 1994

庭園に咲く一輪の赤の物語
光が陰に溶け込む庭園で、風が運ぶ詩的な囁き。
- 国
- フランス
- 地域
- ボルドー(ポムロール地区)
- 葡萄
- メルロー50%、カベルネ・フラン50%
- 年代
- 1994年
- 生産者
- シャトー・ラフルール
- 登場シーン
- 第15巻 #139〜
総合 75 / 100
神咲豊多香の手紙
私は5月の晴れ渡った空の下にいる。そこは大樹の下で優しく陽を遮る陰に守られながら光り輝く庭園を眺めていた私はふと携えていた一冊の古い本を繙いた。
「まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき前にさしたる花櫛の花ある君と思ひけりやさしく白き手をのべて林檎をわれにあたへしは薄紅の秋の実に人こひ初めしはじめなり わがこゝろなきためいきの その髪の毛にかゝるとき たのしき恋の盃を君が情に酌みしかな 林檎畠の樹の下に おもづからなる細道は 誰が踏みそめしかたみぞと 問いたまふこそこひしけれ」
私はゆっくりと立ち上がり、そらんじたその詩を口ずさみながら花咲く庭園をそぞろ歩く。遠い記憶の中で甘く微笑む少女を想いながら、芽吹く青葉の香りと足元から立ちのぼる雨上がりの土の香りに酔いしれて......いつの間にか私は庭園の直中に佇んでいた。紅色 櫻色 赤紫 そして白妙の鮮烈な花のハーモニー 。私はその中から赤紫の一輪をそっと摘みとり、いつか少女とともにそうしたように蜜腺を吸った。混じり気のない透明な仄かな、そして自らを語ろうとしない無口な甘さが、記憶の中の少女の微笑みと甘い口づけに寂かに連なっていく...そのワインは初恋の人に似ている。
テイスティングノート
シャトー・ラフルールは、フランスのボルドー地方ポムロールで代々続く家族経営のワイナリーなんだ。特に注目すべきは、メルローとカベルネ・フランを半々にブレンドしているところ。この組み合わせが、深みと複雑さを生み出していて、まさに特別な一本だよ。畑は小規模だからこそ、一本一本が本当に特別なんだ。
このワイン、第15巻に登場してるんだ。使徒シリーズの中で、どんな場面で開かれたかは分からないけど、これを選ぶってことは、その場面が特別だったに違いないよね。そんな特別な機会にぴったりなワインだと思うよ。
さて、グラスに注いでみると、色合いはレンガ色がかった深いガーネット。熟成が進んでる感じが伝わってくるよ。香りをかぐと、ブラックチェリーの濃厚な香りが広がる。その奥に、湿った土やスミレのニュアンスも感じられて、とても複雑な香りだなって思う。口に含むと、ヴィロードのようなタンニンが舌に優しく広がり、果実味が豊かに溶け込んでいくのを感じるよ。酸味は豊かで、全体のバランスをしっかり支えてる。
余韻は長く、飲み終わった後もその風味がしっかりと口に残る。32年の熟成が生み出した複雑性とエレガントさがしっかり味わえる一杯だよ。これを飲むなら、16℃くらいに冷やして、少し大きめのグラスで楽しむといいよ。