神の雫

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バローロ・カンヌビ・ボスキス(現在はバローロ・アレステに改名)

バローロ・カンヌビ・ボスキス(現在はバローロ・アレステに改名)

ルチアーノ・サンドローネが紡ぐ、物語に刻まれた一口

第20巻 #196〜

イタリア
地域
ピエモンテ州
葡萄
ネッビオーロ100%
年代
2001年
生産者
ルチアーノ・サンドローネ
登場巻
第20巻 #196〜
666677酸味タンニンボディ果実味余韻複雑さ63/ 100

総合 63 / 100

神咲豊多香の手紙

孤独、この世に生を受けたときから私は真の孤独というものを知らずに生きてきた。私の近くには常に温もりがあった。本当に苦しいときは癒しを与えられ、思い上がっているときは厳しさの中に放り込まれた。そうやって私は生きてきた。それが当然と思って.....私は見捨てられた吟遊詩人のように暗闇を歩いている。初めて味わう孤独に怯えながら...ふと立ち止まるといつの間にか漆黒の空は深い藍色を帯び始めていた。ここは見渡す限り動くもののない静かなる領域、その世界には静謐な泉は存在せず、それゆえに水面を渡る涼やかな風を感じることはない。渇きを癒す泉もなければ焦燥を鎮めてくれる風もないのだ。それにも拘らず救いがあり癒しがあり何よりもそこに身を浸すような穏やかさが溢れている。ゆっくりと明けていく薄闇の向こう側に柔らかで安堵に満ち溢れた影が佇んでいる。謎めいた「影」はやがて微かな光の衣を纏い始めた。残月の如く浮かび上がるその姿は厳かでありながら慈愛に満ち溢れている。その佇まいは人でありながら宇宙である。その眼差しは伏していながら総てを見つめている。その指先は永遠なる思惟を物語っている。立ち上がるでもなく座り続けるでもなく語るでもなく笑うでもなく、そしてただ沈黙するでもない。幸せでも不幸でもなく夜でもなく朝でもない。太陽でもなく月でもない。しかしあなたは私を受け入れてくれている。ありのままの私を静かに抱き寄せてくれようとしている。思わず近づく、愛する子のように、愛される母のように、孤独を携えた私の肩を抱き寄せてくれる気がして、抗うことのできぬ力に引き寄せられながら私は歩み寄る。頬を寄せる安らぎを求めて。そして訊ねる。私は何をすればいいのですか?この先の幾歳を生き抜くことに一体どんな意味があるというのですか?弥勒菩薩半跏思惟像。このワインは悩める者の問いかけに黙示をもって答えてくれる。

聞いとけ。グラスを傾けた瞬間、これはただの赤じゃないと鼻が先に吠える。酸と果実が押し合い、タンニンが背骨になって、余韻がなかなか帰ってこない。バローロ・カンヌビ・ボスキス(現在はバローロ・アレステに改名)(2001)——飲んだら誰かに話したくなる、そういう熱量の一本だ。